炊いたんのレシピはニシンとなすが絶品!京都料理をメガ盛りで堪能!
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京都は観光地で老舗や新しいおみやげなどがたくさんありますが、改めて名物、自慢の一品と言うと何が出てくるだろう……?
と自分に問いかけ、ふと浮かんだものは「ニシンとなすの炊いたん」という料理。
家庭料理で、「炊いたん」は「炊いたもの」という意味で、ニシンとなすの炊き合わせ、この組み合わせは京都独特の、おばんざいのひとつです。
わたしは京都人の両親の間に生まれ、転勤で京都と違う土地に高校卒業まで住んでいました。
親戚に京都に住んでおり、連休には家族で京都を行き来していたので、やはり京都が心のふるさと。
そんな環境のなか、普段のおかずのなかに、時おり「ニシンとなすの炊いたん」は出ていましたよ。
みがきニシンを使ってもいいですが、戻すのに時間がかかるから、ソフトにしんを使うほうが楽で便利かもしれませんね。(母が米のとぎ汁を調理する前日からつけなかった時、つけ時間を短くしたときは、食べたときにニシンがかたくて、とても食べづらかった)
醤油やみりんベースの甘辛い味で、見た目の派手さはない日々のおかずのひとつですが、とてもご飯がすすみますよ!
70代になり、年齢や塩分を気にしてか、母が最近味付けを薄くして「ニシンとなすの炊いたん」を作ってくれたのを食べたら、ニシンの魚のクセや生臭さが気になりました。
京都の料理は白だしなどであまり濃い色付けをするものが少ないのですが、やはりこの料理は甘辛い味付けにすることで、ニシンを食べやすく、食をそそるものにしてくれてるのだなあ、と改めて思いました。
ちなみに、最近母は塩分を気にせず、ふだんの味付けに戻ったようで、「ニシンとなすの炊いたん」も子どもの頃から慣れ親しんだ、ちょうどいい味付けに戻りました。
個人的にひそかに喜びました。
京都をルーツにもち、長らく京都に今に至るまで住んでいるのだが、そういえば、ニシンとなすを組み合わせた料理の話をしても、他の地域では聞き慣れないようで、よくめずらしがられたのを思い出しました。
ニシンという食材を使った料理が生まれたのは、京都と魚の流通が強く関係しているのではないか?と思います。
現在は魚の鮮度を保つ技術が発達し、京都も粋のいい魚がずいぶん出回るようになりましたが、昔はそうではありませんでした。
たとえば生命力の強い鱧(はも)は特別で、夏の京の代表する魚になっています。
先ほど「ニシンとなすの炊いたん」の調理過程についてちょっとふれましたが、ニシンは生ではなく、乾物です。
京都はお正月に棒だらを炊いた料理を作り、食べる習慣があります。
ニシンも棒だらも、乾物にして日持ちするように加工しています。
またニシンは京都や関西でとれるものではありません。
関西の食文化の歴史について聞いたことがありますが、ニシンは北海道から船で輸送され、京都に届いたものです。
関西では昆布をおだしに使うのも、北海道から船で輸送されてきた昆布が使われ、食文化に浸透しているというのも共通しています。
同じくニシンを使った料理で、ニシン蕎麦もありますが、提供する有名なお店が本などでも紹介され、有名になりすぎている感もあるので、わたしはあえてこの「ニシンとなすの炊いたん」を紹介したいと思いました。
京都独特の土地柄や魚の流通事情により生まれた一品に違いなく、また京都らしい他では食べる機会はない、組み合わせの一品だからです。
テレビや本で有名になっているものだけでなく、京都の日々のおかず、おばんざいから、京都の日常をのぞいてみてはどうでしょう?
風土や歴史も少し知って食べてみたら、まだ別の味わいが感じられるに違いないですよ。
まあ、そんな難しいことも考えずとも、とりあえず味わってみて。わたしはお酒をたしまないので、「ニシンとなすの炊いたん」を食べるときは白いご飯でいただくというパターンなのですが、お酒と一緒に、あてとしても、どうぞ召し上がれ。